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EUV露光による先端ロジックと先端DRAMの量産がついにはじまる(Impress Watch)

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EUV露光による先端ロジックと先端DRAMの量産がついにはじまる
[元記事]
 EUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)露光技術による先端ロジック半導体の量産が、ついにはじまった。今年(2018年)の10月に、Samsung ElectronicsがEUV露光技術を導入した7nm世代の半導体ロジックの生産を開始したと公式に発表した(Samsung、EUV 7nm LPPの開発が完了。ArF液浸露光から大幅コストダウン参照)。【この記事に関する別の画像を見る】 最先端ロジックの量産にEUV露光技術を採用するのは、Samsung Elecronics(以降はSamsungと表記)だけではない。TSMCは、7nm技術ノードの第2世代版「N7+(7FF+)」にEUV露光技術を導入し、来年(2019年)の第2四半期(2019年4月~6月期)に量産をはじめると公表済みだ(iPhone 9世代の製造技術7nmプロセスがいよいよ本格化参照)。そしてIntelも時期は未定だが、7nm世代の技術ノードからEUV露光技術を導入すると表明している(Intelの次世代CPUマイクロアーキテクチャ「Sunny Cove」)。
 DRAMでも、EUV露光技術を導入する動きがある。16nm世代のDRAM製造に、SK HynixがEUV露光技術を導入するもようだ。EUV露光装置の開発企業であるASMLが2018年11月に開催したアナリスト向けイベントで発表した内容と、SK Hynixが2018年7月27日に公表したDRAM新工場「M16」の建設を報じた韓国専門メディア「東洋経済日報」オンライン版の記事が、EUV露光技術の導入についてふれている。新工場「M16」では2019年にEUV露光技術を導入した16nm世代のDRAMの生産をはじめ、2020年には本格的な量産に入るとされる。
■ArF液浸のマルチパターニングに比べてコストを大幅に低減
 EUV露光技術の導入によるメリットは明確である。現行の最先端露光技術である「ArF液浸露光とマルチパターニング技術の組み合わせ」に比べて、スループットが大幅に上昇する。マルチパターニング技術では露光や現像、エッチングなどの工程が数回は必要であるのに対し、EUV露光ではシングル露光を基本とするので、露光や現像、エッチングなどの工程が1回で済むからだ。
 スループットが上昇すると、シリコンダイ1枚当たりの製造コスト(ランニングコスト)が下がる。ASMLによると、EUV露光技術の導入によって製造コストは15%減~50%減になるという。そして最も微細な薄膜層の加工に必要な時間(サイクルタイム)は、EUV露光技術の導入によって3分の1~6分の1と短くなるとする。
■マスクパターンに対する忠実度が70%も向上
 忘れてはならないメリットが、マスクパターンに対するパターン形状の忠実度が著しく高まることだ(完成に近づいた、SamsungのEUVリソグラフィ採用7nm半導体量産技術参照)。ArF液浸露光とマルチパターニングの組み合わせでは、マスクのパターンをそれほど忠実には再現できない。ウェハではパターンがぼやける。
 これに対してシングル露光で加工するEUV露光では、パターンがぼやけない。ArF液浸露光とマルチパターニングの組み合わせでは不可能だった複雑な回路パターンを、EUV露光では実現できる。するとレイアウト設計の自由度が高まり、回路の配線層数が減り、マスクの枚数が減る。設計コストと製造コストの両方で、コストの低減を期待できる。
■量産用EUV露光装置の累積出荷台数は2018年に40台を突破へ
 来年に本格化するとみられる、EUV露光による量産をになうのはASMLが開発したEUV露光装置(スキャナ)の「NXE:3400B」だ。昨年(2017年)に出荷を開始した量産用EUVスキャナで、1時間当たりに125枚のウェハを処理可能(目標仕様)である。
 「NXE:3400B」の出荷台数は、順調に伸びている。昨年(2017年)の出荷台数は10台だった。今年(2018年)の第1四半期~第3四半期における出荷台数は12台である。2018年は最終的には、18台の出荷を予定する。過去に開発した量産用EUVスキャナ「NXE:3300B」と「NXE:3350B」を含めると、累積出荷台数は42台に達する見込みだ。そして来年(2019年)は、今年を超える台数の「NXE:3400B」の出荷をすでに、計画済みである。
■EUV露光の量産採用を牽引した2つのブレークスルー
 ここにきてEUV露光の量産採用が決まりつつある大きな理由は、今年に技術開発で2つの大きな前進(ブレークスルー)があったことだと、ASMLは2018年12月に開催された国際学会IEDMで述べている(講演番号および論文番号は11.6)。
 最初のブレークスルーは、EUV光源の出力増加である。量産の目安とされる「1時間当たりに125枚のウェハ」を処理するスループットを達成するには、光源出力(中間集光点(IF)の出力)として250Wが必要とされていた。これに対して246Wの光源出力を、2018年5月~8月に13週間にわたって安定に維持することができた。
 この結果、マスクにペリクル(微小な塵埃からマスクを保護する薄膜)を設けた状態でも、「1時間当たり125枚」を達成する目処がついた。現状ではEUV露光装置内部では動作中の塵埃発生が避けられず、ペリクルなしでの量産は難しいとされていた。
 ペリクルはわずかながらEUV光を吸収するので、EUV光源に要求される出力が高くなってしまう。あるいは同じEUV出力だと、製造スループットが下がる。たとえば1時間当たりで125枚のスループットを実現するには、ペリクルなしだとEUV光源に要求される出力は205Wで済むのに対し、ペリクルありだと250Wに上昇する。
 次のブレークスルーは、EUV光源における収集器(コレクタ)の劣化が著しく減少したことだ。EUV光源は波長が13.5nmのパルスレーザー・プラズマ光を利用する。このときプラズマ光の利用効率を高めるため、コレクタと呼ぶ反射鏡によって光を集めている。
 ただしパルスレーザーによるプラズマが発生すると、コレクタの反射鏡はわずかずつ劣化する。しかも光源の出力を高めるためにプラズマ光の出力を増加させると、反射鏡の劣化が増加するという、トレードオフの関係がある。
 約2年前の2016年の時点では、80Wと低い出力でも10の9乗回のパルス(1Gp)当たりで0.4%~0.6%の劣化がコレクタの反射鏡に生じていた。それが現在では、3倍強の250Wの出力でも、1Gp当たりの劣化が0.25%と低く抑えられるようになった。
 これら2つのブレークスルーによって、ペリクルありでの製造スループット(1時間当たりのウェハ処理枚数)を100枚強に高めるとともに、近い将来に125枚にまで向上させる目処がついた。スループットの向上によってEUV露光のコストがさらに低下することが、近い将来に期待できる。
 もちろんEUV露光の導入による初期コスト(イニシャルコスト)は莫大なものだ。露光装置が非常に高価であることは当然ながら、フォトレジストやマスクなどの部材コストも、ArF液浸露光に比べると当初は高価になる。
 初期コストをなるべく短い期間で回収するためには、量産規模を拡大するとともに、なるべく高価なシリコンダイを生産する必要がある。シリコンファウンダリにとっては、大量に最先端ロジックを発注してくれる顧客を見つけることが欠かせない。良い顧客を獲得できるかどうかが、EUV露光導入の成否を大きく左右することになるだろう。

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