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なぜアップル「Mac Pro」は米国製なのか(アスキー)

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なぜアップル「Mac Pro」は米国製なのか
[元記事]
アップルがMac Proを米国で製造するのは政府へのアピールという側面もある。iPhoneなどスマートフォンの中国からの輸入関税は12月15日までが猶予期間だ。【もっと写真を見る】

MADE IN AMERICA  Apple
 
 米国時間11月20日、テキサス州オースティンを訪れたトランプ大統領は、アップルの「Mac Pro」製造工場を視察し、ティム・クックCEOと会談しました。
 
 クックCEOは声明で、「史上最も強力なアップル製デバイスであるMac Proをオースティンで製造することは、誇るべきことであると同時に、米国人の創造性が持つ揺るぎない力の証でもある」と述べ、米国内で、アップルの最上位に位置するコンピュータを製造することを意義深くアピールしました。
 
 またトランプ大統領は製品の米国製造回帰について触れ、「誰もがそれは経済にとって悪いと発言しているが、今ティム・クック氏からも聞いたように、われわれの経済は世界で圧倒的に強い」と述べました。
 
●アップル in オースティン
 アップルはオースティンに新しいキャンパスを建設することを発表しました。このプレスリリースは日本では配信されていません。しかしこのリリースは、やはり、米国での雇用や製造業への貢献をアピールする意味合いが強いのです。
 
 オースティンは、毎年春にSxSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)が開催される場所であり、またアマゾンが買収した高級オーガニックスーパー、ホールフーズ・マーケット創業の地でもあります。筆者も何度か訪れたことがありますが、市街地は治安も良く、米国では珍しく夜22時を過ぎても女性が一人でジョギングをしているほどでした。
 
 オースティンのキャンパスは、10億ドルをかけて300万平方フィート(約27万平方メートル)のキャンパスを新設し、当初は5000人を収容、2022年までに1万5000人が働く環境を作り出すとしています。現在もアップルはオースティンに拠点を置いていますが、働いている人は約7000人。これから数年で50%も人員が増える予定です。
 
 米ABCで建築現場でのインタビューに応えたクック氏は、4年制の大学卒業はスキルではなく、アップルの従業員の15%しか大学卒の学位を持っていないと語りました。これまでも、大学の単位と求められるスキルのミスマッチを指摘してきた同氏ですが、今後もプログラミングやクリエイティブと言った新しいスキルを持っている人を、学位によらず登用していく方針であることが分かります。
 
 12月はコードを学ぶ時間を作り出そうという世界的なキャンペーン、アワー・オブ・コード(Hour of Code)に今年も賛同するとみられており、世界中のアップルスタオでプログラミングのコースがこども向けに開放されると予測できます。
 
●Mac Proは米国で作られる
 これまでアップル製品で米国製造だったのはMac Proのみでした。2019年6月にWWDCで発表された最新型最上位デスクトップについては当初米国製造がアナウンスされませんでしたが、今回「Mac Proは米国で作られる」として、製造拠点の写真もウェブサイトで公開しました。
 
 新型Mac Proは初代Macintoshよりも1万5000倍高速で、アップルと製造パートナーはオースティンにおいて、2億ドルを投じて製造拠点を構築したそうです。また髪の毛ほどの幅しかないところに部品を配置するような正確性が求められる作業もあるといいます。
 
 プレスリリースでは、Mac Proの部品は米国19の州から取り寄せられることも明らかとなりました。プロセッサーはアリゾナとオレゴン、グラフィックスはニューヨーク、電気部品はメイン、ペンシルベニア、そしてテキサスで製造されます。
 
 こうして、アップル最上位モデルのコンピュータは、米国中の部品を集めて、米国内で組み立てられることをアピールしたのです。
 
 これまで、米国内での製造は経済性に合わない、あるいはそもそも組み立てられる人材の確保が難しい、と言われてきました。トランプ大統領のコメントは、そうした前提はもう古いと言うことをアピールする結果と言えます。
 
●iPhoneの関税は免れるのか?
 クック氏がMac Proを米国内で作ろうが、そこに幾分余分なコストがかかろうが、あまり大きな問題ではないかもしれません。なにしろ最小構成が5999ドル(約65万円)で、多くのユーザーがいろいろなカスタマイズを施すため、さらに高額になるはずです。
 
 クルマもコンピュータも、値段と製造工程は必ずしも連動しません。
 
 こういう言い方は乱暴かもしれませんが、メルセデスでも軽自動車でも、ボディがあって、ハンドルがあり、タイヤがああり、エンジンがあり、ブレーキがある、というパーツの構成はあまり変わりません。もちろん高ければ高いなりに性能やバランスなどが変わり、最終的な乗り味という体験が作り出されるわけで、価格に意味がないとは思いません。しかし、使っているパーツの点数がかけ離れているというわけでもないはずです。
 
 同じように、コンピュータだって組み立てにフォーカスすれば、5万円のパソコンも200万円になっちゃうMac Proも、人が携わる作業はそんなに変わらないかもしれない。Mac Proだからこそ、人件費が高い米国での組み立てが可能なわけです。これをMacBook Airも米国製造にするなら、すごいのですが。
 
 トランプ大統領だって、そんなことは分かっています。しかし、アップルが米国民やトランプ支持者に対して、納得してもらえるだけの努力をしている様子を示さなければならない。その目的は、iPhoneへの関税の更なる猶予、もしくは除外です。
 
●アップルの売上に大きなインパクト
 実は、iPhoneなどのスマートフォン向けの中国からの輸入関税は12月15日まで猶予されています。どうやらトランプ大統領も猶予期間内にホームボタンがないiPhoneを手に入れたようですが、関税がかけられると、少なくとも15%、iPhoneの価格に上乗せされる可能性があります。
 
 アップルはこれまで、Apple Watchやその他アクセサリに対して既に発動している関税を肩代わりしてきました。AirPodsについては、少なくとも米国向けだけは中国以外のアジアへと製造拠点を変えたようです。
 
 しかしiPhoneに関税がかけられ、しかもそれをアップルが肩代わりする場合、売上高に大きなインパクトが加わります。iPhoneの売上高は全体の半分。もし米国の販売分に15%の関税がかかり、それをアップルがかぶるなら、単純にそれだけ売上高が減ってしまうことになります。
 
 アップルのiPhoneは昨年に比べて10%以上の下落を続けています。そうした中でさらに売上高の押し下げ要因である関税が防げなければ、2020年もiPhoneの売上高が浮上できないままとなってしまします。
 
 はたして今回のオースティン作戦で、トランプ大統領を満足させることができたのか。iPhoneへの関税は免れるのか。ふたたび「米国内でiPhoneを作れ」と突き放されてしまうのか。12月半ばまでに、なんらかの決定がなされるのではないでしょうか。
 
筆者紹介――松村太郎
 
  1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
 
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
 
文● 松村太郎 @taromatsumura 編集● ASCII

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