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天然物に負けないAI・IoT活用サクラマス陸上養殖実験(アスキー)

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天然物に負けないAI・IoT活用サクラマス陸上養殖実験
[元記事]
No Maps 2018の記者発表会でもアナウンスされた「Future Lab」の取り組みのひとつが、北海道では初となるサクラマスの陸上養殖実験だ。稚内の実験場を訪ね、背景や実験の現状、そして将来ビジョンをカタクラフーズに聞いた。【もっと写真を見る】

 北海道を壮大な社会実装実験場にするプロジェクト「No Maps Future Lab」。その取り組みのひとつが、北海道では初となるサクラマスの陸上養殖実験だ。株式会社カタクラフーズと地方独立行政法人北海道立総合研究機構(道総研)、日本オラクル株式会社にさくらインターネット株式会社の4者が協力して進めているプロジェクトで、カタクラフーズが開発した飼料の給餌実験やIoTを活用した遠隔管理の実験など、興味深い要素技術がいくつも組み合わさっている。実際に稚内の実験場を訪ね、背景や実験の現状、そして将来ビジョンをカタクラフーズに聞いた。
 
飼料事業撤退から、縮退よりチャレンジを選んだカタクラフーズ
 北海道は水産資源に恵まれた地であり、水揚げされた魚介を使った産品も多い。これらを製造する水産加工工場で生じるのが、商品としては使わない部位、魚粕(ぎょかす)だ。中には貝類の内臓のように、重金属を含んでいるものもあり、産業廃棄物として処分される。カタクラフーズではこうした魚粕を主原料とした肥飼料を開発、販売していた。しかし、その事業に暗雲が立ちこめてきたという。
 
 実はここ数年、北海道の水産業は縮小が続いている。水揚げ高は減り続け、それにともなって水産加工工場で製造される商品の量も減少、結果として肥飼料の主原料となる魚粕も減少傾向にある。カタクラフーズは元々、肥飼料事業と食品事業を大きな柱としていた。その一方の柱が存続の危機に立たされたとき、株式会社カタクラフーズ 代表取締役 猪股 和範氏は縮退ではなく新たなチャレンジを選んだ。
 
 「採算性が悪くなり、肥飼料事業を閉鎖することにしました。その分人員が余りますし、使われなくなる設備もあります。それらを使って道総研とともに新しいことにチャレンジしよう、そう決めました。最新技術を使った養殖実験に踏み出したのです」(猪股氏)
 
 豊富な天然資源に頼り切って創業してきた北海道の水産業。養殖という点では、ほかの地域に比べて知見が不足していた。逆に言えば、経験からの思い込みもしがらみもないということ。これを上手く活かした一手だった。
 
 カタクラフーズと道総研は、水産加工工場で廃棄されるホタテの内臓部分、ウロを使った飼料づくりの研究で足並みをともにしてきた。その協業関係に加えて日本オラクルやさくらインターネットの協力を得るために、No Maps事務局が大きな役割を担ったという。
 
 「IoTに興味はあっても、実際の技術を持った人材が社内にいるわけでもなく、誰を頼ればいいのかもわかりませんでした。No MapsはIT系の企業や研究機関、さらに行政機関ともつながりを持っていて、求めている技術を持っている企業や機関同士をマッチングしてくれるありがたい存在です」(猪股氏)
 
 猪股氏は新しいチャレンジを地元稚内で始めるにあたり、稚内市も巻き込むことにした。プロジェクトが成功すれば稚内に新しい事業が生まれることになる。それをカタクラフーズだけの手柄にするのではなく、稚内市の水産業を盛り上げる力として育てていきたいと、猪股氏は力強く語った。
 
稚内のサクラマス陸上養殖は既存の養殖とは一線を画す
 なぜ稚内で実証実験を行なうのか。無論カタクラフーズがそこに本社を持ち設備を持っているからだが、それだけが理由ではない。サクラマスは養殖が難しい魚種で、特に水温管理には細心の注意が求められる。水温が20度を超えてはならないというのが、サクラマス養殖の常識だ。
 
 「本州ではサクラマスの陸上養殖がすでに行なわれていますが、寒い時期に限られています。川で稚魚を捕獲し、海水で半年間、寒冷期だけ養殖して出荷するのです。しかし稚内なら、今年の猛暑でも水温は最高22度。20度を少し超えてしまいますが、それでも9割のサクラマスが夏を越せました。つまり稚内なら半年ではなく、通年での養殖ができるのです」(猪股氏)
 
 天然のサクラマスは川から海に出て、1年間回遊した後、産卵のために川に戻ってくる。半年間の養殖では、小ぶりなサクラマスしか出荷できなかったが、稚内なら1年間養殖し、天然物に負けないサイズのサクラマスを出荷できるというわけだ。
 
 海水を汲み上げ、一時貯蔵して砂を落とし、水槽に流し込む。あふれた水は貯水槽や海へ還元される。これらに使われているのは、閉鎖した肥飼料事業で使われていた設備を流用したものだ。海のすぐ近くにあるため、豊富な海水を使って”源泉掛け流し”方式で養殖しているのも、今回の実験の特徴のひとつだ。他地域で行なわれる一般的な陸上養殖では、海水を濾過して循環させることが多い。
 
 「海水をそのまま流し込めるので、プランクトンなど天然の栄養素も取れるというメリットもあります。反面、海の状況がそのまま水槽に反映されてしまうので、海が荒れている日は水槽の水もにごりが多くなります。色々な意味で、自然に近い姿での養殖なんです」(猪股氏)
 
IoTによる可視化は従業員の負担軽減にも効果大
 実際にIoT化した部分としては、遠隔での給餌操作がそれにあたる。画像データから水の濁り具合(食べ残し具合)を確認できるようになり、直接水槽に行かずともスマホから給餌までが可能となった。
 
 実際に水槽の管理に携わっている株式会社カタクラフーズ 営業課 主任 藤山 純氏にも話を聞いたところ、IoTによる可視化はメンタル面に好影響をもたらしているとのこと。
 
 「水槽が気になったら、スマホですぐに現在の状況を確認できます。スマホを通して水槽の様子を確認しながら給餌もできるので、休日でも出勤しなければならなかった働き方が変わったのもいいですね」(藤山氏)
 
 ペットの犬猫とは違い、魚の養殖では一定量の餌を定時に投げ込めばいいというものではないそうだ。水温や水質の変化が、その日の食欲に大きな変動をもたらすのだという。餌が少なければ体の大きな魚が餌を独占してしまい、弱く小さな魚にまで餌が行き渡らない。逆に餌が多すぎれば水槽内に残った餌によって水質が悪化してしまう。その日の食いつきを見ながら給餌漁を調整する、それがスマホひとつでできるようになっているのだという。
 
自動化など今後の展開に向けた準備も進む
 現在はセンサーからの各種データについて、スマホを通じて人間が目で確認しながら給餌しているが、さらにこれを進めて自動化しようと取り組んでいるのが、日本オラクルとさくらインターネットのエンジニアだ。
 
 さくらインターネットが整備したネットワークを通じ、日本オラクルのエンジニアがリモートで水槽を監視、映像を収集している。機械学習を通じて、水槽の画像から適切な給餌量を判断して自動的に餌を与えるようにしたいとのこと。
 
 「実験開始当初は、日本オラクルからエンジニアの方が何度も足を運んでくださっていました。しかしNo Maps事務局を通してさくらインターネットの協力を得られて、今はリモートで頻繁に見てもらえるようになりました」(猪股氏)
 
 まだ1年目であり、学習データを蓄積している段階だが、次の一手に向けて着実に歩みを進めている。夏の水温を生き延びた魚同士を交配させることで、水温上昇に耐える強い魚種を育てることも考えていると、猪股氏は展望を語る。天然物に負けないサイズの養殖サクラマス、数年後には稚内の新名物になるかもしれない。
 
 
文● 重森大 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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