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人と共生し産業を加速する次世代ロボット、要素技術が集結(アスキー)

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人と共生し産業を加速する次世代ロボット、要素技術が集結
[元記事]
NEDOは2020年1月16日・17日の2日間、シンポジウム「AI&ROBOT NEXT」を新宿LUMINE 0で開催した。本稿では、17日に実施された革新的ロボット要素技術分野の発表「革新的なアクチュエーション技術」および「革新的なロボットインテグレーション技術」をレポートする。【もっと写真を見る】

 NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は2020年1月16日・17日の2日間、シンポジウム「AI&ROBOT NEXT」を新宿LUMINE 0(ルミネ ゼロ)にて開催した。ここでは、17日に実施された革新的ロボット要素技術分野の発表「革新的なアクチュエーション技術」および「革新的なロボットインテグレーション技術」をレポートする。
 
PVCゲルアクチュエーターによる腰サポートツール
 「革新的ロボット要素技術分野の発表:革新的なアクチュエーション技術」では、7名が登壇し、各研究成果を発表した。
 
 信州大学繊維学部 特任教授 橋本稔氏は、可塑化PVCゲルアクチュエーターによるウェアラブルロボットの開発について発表。電圧をかけると陽極に凝集するPVCゲルの特性を利用し、アクチュエーターを伸縮させることで、脊椎起立筋の力をアシストする仕組みだ。現在は、介護や農作業、物流など労働向けの腰サポートウェアとしてプロトタイプを開発し、2021年以降の商品化を目指している。
 
高減速ギアを備えた高出力アクチュエーターの研究開発
 横浜国立大学 教授の藤本康孝氏は、高減速かつ逆駆動が可能な「バイラテラル・ドライブ・ギヤ」を紹介。ロボット用のギアの抱える3つの課題(高回転のモーターとの相性の悪さ、エネルギー回生の効率、バックドライバビリティ)を解決するものだ。複合遊星歯車機構に動力伝達効率を最大化する設計手法を適用し、減速比は10分の1から1000分の1まで幅広く対応する。試作した減速機では、減速比102.1分の1、駆動効率は順逆ともに90%を超える高効率を実現している。
 
 現在は、日本電産シンポ株式会社へ技術提供し、実用化を進めている。また、共同研究や貸し出しプログラムにより、製造業向けロボットやアシストロボットなど幅広い分野への利用を目指している。
 
段差のある路面もスムーズに動く全方向駆動機構の開発
 東北大学 准教授の多田隈建二朗氏は、「全方向駆動機構を核とした革新的アクチュエーション技術の研究開発の実際」と題し、コンパクトな車輪で段差のある場所でもなめらかに全方向へ動く「球状全方向車輪機構」を紹介。路面に対して線接触であるため、点字ブロックや絨毯、芝生の上でもスムーズに走行可能だ。
 
スライドリングマテリアルを用いた軽量・柔軟なアクチュエーター
 豊田合成株式会社の竹内 宏充氏は、高分子の架橋に関する原理とそれを利用した分子による高分子素材である「スライドリングマテリアル」を用いた誘電アクチュエーターセンサー「e-Rubber」とその応用事例を紹介。
 医療分野でのe-Rubberの適用としては、心臓の動きを再現する心臓手術訓練シミュレーター「SupeR BEAT」(EBM社と共同開発、2019年10月に販売済)に採用されている。心臓のバイパス手術は15分以内で終えなければならないが、e-Rubberは速い動きにも対応し、心臓の動きをリアルに再現できるという。またe-Rubberの軽量・柔軟性を活かした製品として、触覚を遠隔で伝送する「指先ソフトハプティクス」を紹介した。
 
ウェアラブルアシスト機器のためのソフトアクチュエータシステム
 中央大学の奥井 学氏のチームでは、ウェアラブルロボット向けに、人間の動きに合わせて形を変えられるアクチュエーションシステムを開発している。独自開発の軽量・安価な高出力型空気圧人工筋肉と薄型・軽量MR流体ブレーキを組み合わせて、人間の関節のような粘弾性を再現。動いてないときも装着者の動きを妨げず、必要なときだけアシスト特性を持つ。NEDOのプロジェクトでは、人工筋肉の長寿命化、オンライン駆動する関節モジュールの開発、要素技術として、携帯可能なハイブリット空気圧源の研究にも取り組んでいる。
 
トウモロコシや唐揚げを吸着移動できる食品対応吸着パッド
 名城大学 理工学部メカトロニクス工学科のチームは、凹凸面のある野菜などの食品を吸着移動するための濡れ性を用いた吸着パッド「SWA(Super Wet Adsorption)パッド」を開発した。パットの毛細管から出る水が凸凹部分を埋め、真空崩壊を防ぐことで吸着把持する仕組みだ。素材には食品衛生法に適合した塩、オリーブオイル、ゼラチンのみを使用。共同研究先のSMC株式会社での耐久試験では2.8万回の耐久試験をクリアし、現在、製品化を進めている。
 
石油や電気不要、化学エネルギーで駆動する「分子人工筋肉」
 東京工業大学の小長谷明彦氏は、分子から作る「人工筋肉」を紹介。石油や電気を使わず、生物と同じように化学エネルギー(アデノシン三リン酸)だけで動く人工筋肉の実現を目指し、全国6拠点で研究開発に取り組んでいる。北海道大学・関西大学では、光造形可能な分子人工筋肉を開発。北陸先端大学・大阪大学では、人工筋肉の光造形システムを開発。東工大と産業技術総合研究所の共同開発では、人工筋肉の分子部品の設計を支援するVRシミュレーションシステムを開発している。
 
 続いて、「革新的ロボット要素技術分野の発表:革新的ロボットインテグレーション技術」には、10名が登壇した。内容を要約して紹介する。
 
HRI行動シミュレーターで開発時間を大幅短縮
 国際電気通信基礎技術研究所の佐竹聡氏は、人共存環境で活動するロボットの開発時間を削減するHRI(Human-Robot Interaction)行動シミュレーターを紹介。街や商業施設の案内や宣伝などサービスロボットのニーズは高いが、実店舗テストを繰り替えしながら開発するのは難しい。そこで、実店舗を再現したシミュレーション環境でのロボット開発を提案。セレッソ大阪メガストアのシミュレーション環境でテストしたところ、実店舗では約2時間かかる開発を20分まで短縮できたそうだ。
 
軽くタッチして人ごみをかきわける自律移動技術
 パナソニックの今岡紀章氏は、混雑する場所でのロボットの立ち往生を解消するための研究を紹介。環境の混雑状況に合わせて経路生成し、混雑している場合は、通路をふさいでいる人に軽く接触して不快感を与えずに気付いてもらう制御方法を提案した。
 
知識の構造化によるロボットの知的行動の発現研究開発
 都市のビルや施設は、エスカレーター、エレベーターなど複数の移動インフラがあり、人と同じように移動するには高度な判断力が必要だ。明治大学の黒田洋司氏は、環境に応じて適切に行動する自律システムの研究開発について紹介。研究成果を実用化するため、2016年にスタートアップSEQSENSE(シークセンス)社を創立し、歩行者の行動予測AIやエレベーターの自律搭乗機能をもつロボットを開発した。大手町パークビルにて業務運用を開始している。また、新型機として高機動型実験機CCVを開発中だ。
 
IoT時代に対応した「ORiN3」
 一般社団法人ロボット工業会 高本治明氏は、ミドルウェア「ORiN(オライン)」の次世代版「ORiN3」を紹介。ロボットに限らず、あらゆる分野のサービス、デバイスに幅広く対応したオープンなプラットフォームの実現を目指す。
 
人間らしい目を実現する、煙の先が見えるLidar
 人間は、超低速な眼球移動で見たいところだけを見る効率的な視覚システムを持つ。産業技術総合研究所の上塚尚登氏は、この人間のような目を実現するLidar(レーザーによる画像検出・測距)を紹介。開発したスキャナー「MultiPol」は、見たい部分を詳しく見る、重みづけスキャンが可能だ。自動運転などへの実用化を目指している。
 
非整備環境対応型高信頼ヒューマノイドロボットシステム
 住宅や航空機、船舶など大きな構造物の建築・組み立て現場では、ロボットに合わせて作業環境を整備することが困難なため、自動化があまり進んでいない。そこで、産業技術総合研究所のヒューマノイド研究グループは深層学習を用いて作業現場の対象物を認識・追跡する技術と、足場や階段を移動するための多運動接触技術を開発。2025年までに実用化体制の構築を目指す。
 
イメージセンサーを用いた環境認識処理の高速飛行体への適用
 エアロセンス株式会社は、建築進捗管理や災害時医薬品輸送に向けた、ドローンの目視外飛行を実現するための長距離通信・センシング・垂直離着陸飛行技術を紹介した。2019年10月には離島間の緊急医療用品輸送の実証実験として、LTE通信を用いた目視外飛行を実施。センシング技術として、グローバルシャッターカメラからVisual SLAMで点群を検出することで、障害物回避を実現する。
 
人の手に近い高性能で堅牢性を併せ持つロボットハンドの開発
 東京都立産業技術高等専門学校 特任准教授の深谷直樹氏は、独自のからくりを用いて、さまざまな形のものを把持できるロボットハンドを開発した。人の指のように、対象物になじんで自然に関節が曲がる「協調リンク機構」で、センサー不要・少ないモーター数でモノをつかめる。応用例として、農作業ロボット向けの人型ロボットハンド、産業用の丈夫でパワーのある3指ハンド、食品工場などで使い捨てできる紙製のオリガミハンドの3つを紹介した。
 
人の手のように優しく巧みな力加減ができる汎用人工手の研究開発
 慶應義塾大学システムデザイン工学科 野崎研究室では、人間のように柔軟な力加減を制御できる力触覚伝達技術「リアルハプティック」を用いた小型の汎用人工手を開発している。力触覚の伝送モジュールを力触覚の推定に特化した小型モータドライバーをマイクロテック・ラボラトリー社から2020年4月に販売予定だ。また、力触覚技術を搭載したICチップの開発にも成功しており、実用化を進めている。
 
ドローンの事故を防ぐ安全飛行管理システム
 ブルーイノベーション株式会社は、ドローンの墜落や事故を防ぐための安全飛行管理システムとして、「無人航空機用フライトレコーダー」、「事故原因解析システム」、「事前飛行計画確認システム」を開発。現在のパイロットの操縦によるドローン飛行から、将来的は、ドローンに搭載されているロガーがデータ通信でルート情報を得ながら自動飛行する機能の開発を目指す。
 
文● 松下典子 編集●ASCII STARTUP

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