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「日本ではデジタル機器はゲームをする道具」、文科省がGIGAスクール構想で露わにする危機感(Impress Watch)

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「日本ではデジタル機器はゲームをする道具」、文科省がGIGAスクール構想で露わにする危機感
[元記事]
Watch HeadlineこどもとIT
日本マイクロソフトは2月4日、文部科学省の「GIGAスクール構想」に準拠した端末と、マイクロソフトのクラウドサービスなどを組み合わせた「GIGAスクールパッケージ」を発表した。パソコンメーカー8社17機種の対応パソコン、Windows 10とOffice 365、MDMによる大規模端末展開とアカウント管理、教員向け研修、「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に対応するクラウド環境などをセットで提供。学校側がGIGAスクール構想に対応しやすいというパッケージだ。【この記事に関する別の画像を見る】発表当日は、午前にマスコミ関係者向け記者会見、午後に自治体関係者や教育関係者などを招いた「マイクロソフト教育サミット」を開催。記者会見ではGIGAスクールパッケージの詳細を発表し、午後のサミットではGIGAスクール構想に至る文部科学省の危機感とその狙い、日米の学校現場でのICT導入にまつわる事例などを紹介。製品から導入を支援する体制までトータルで提供していくという、官民挙げてのGIGAスクール構想実現に向けた発表会の全容をレポートする。
■Windows連合が総力挙げて、GIGAスクール構想に対応
文部科学省が2019年12月に発表したGIGAスクール構想は、「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境の実現に向けて、令和時代のスタンダードとして1人1台端末環境と、高速大容量の通信ネットワーク、パブリッククラウド等を一体的に整備する」とされている。
今回発表したGIGAスクールパッケージは、GIGAスクール構想の「学習者用端末の標準仕様」に適合したパソコンを、Dynabook株式会社、デル株式会社、日本エイサー株式会社、株式会社 日本HP、日本電気株式会社、富士通株式会社、株式会社マウスコンピューター、レノボ・ジャパン株式会社の8社から17機種を提供。そこに搭載するWindows 10、Office 365を特別価格でマイクロソフトが提供する。個別の価格は非公開だが、GIGAスクール構想の1台あたり4.5万円の補助を想定した価格体系になっているという。
導入・運用は、従来のオンプレミス型の環境構築とは異なり、クラウド前提でのMicrosoft Intuneを活用したMDM(端末マネジメント機能)を提案。従来のディスクイメージのクローニングと比較して短時間で作業が完了し、従来比で約3分の1のコスト削減になる。「Windows端末は、端末展開が難しいという声があるが、クラウドベースとなることで大幅に管理・展開が楽になっている。海外でもこの手法が使われており、現場作業を介さず、導入プロセス短縮化が実現する」(日本マイクロソフト 業務執行役員 パブリックセクター事業本部 文教営業統括本部長 中井陽子氏)とクラウドを活用することで端末の展開、アカウント管理まで効率的に行えることをアピールした。
端末設定にあたっては「GIGAスクール端末設定ガイドブック」を用意し、不安を払拭することに注力している。教員に対しては、運用管理者と現場の教員向けにTeamsを中心とした授業での活用や、日常の運用に必要な研修を無償で提供。研修はGIGAスクール構想の予算には含まれていない部分だが、現場での利活用に欠かせない大事なポイントであり、無償提供することを決めたという。従来から提供しているという教員向けオンライン研修も、GIGAスクール向け研修を新設するという念の入れようだ。
クラウドについても、マイクロソフトのサービスが文科省の定める「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」に対応していることをアピール。高いセキュリティレベルを持っていることを示す例として、最高裁判所の民事訴訟手続きのIT化にMicrosoft Teamsが利用されていることをあげた。各社の対応パソコンやパッケージについては、『日本マイクロソフト、学校向けに低価格な「GIGAスクールパッケージ」を提供』でも詳しくレポートしている。こちらも参照いただきたい。
■文科省の調査が示した、日本社会の危機と進むべき道
ここまでは、日本マイクロソフトとメーカーによる、いわばサービス提供側のメッセージだ。続いて午後に開催された「“世界標準で学ぶ”MSソリューションで実現するGIGAスクールプロジェクト対策サミット」では、GIGAスクール構想を策定した側である文部科学省の基調講演から始まり、実際に教育現場で活用する自治体や学校関係者による発表が行われた。
基調講演では、文部科学省 初等中等教育局 情報教育・外国語教育課長の高谷浩樹氏が登壇、「通常の講演等では、日本の学校のICT教育がOECDの学習到達度調査(PISA)で最下位というデータを紹介するのが常だが、今回の参加者の皆さんはすでにご承知のことなので、今日は紹介を行わない。ただ、これだけ紹介したい」と、子どもたちにICTに関するアンケートを取った結果を紹介した。
「学校外での平日のデジタル機器の利用状況」という調査では、日本の子どもたちはゲーム、チャットという分野ではOECD平均を上回る利用率であるのに対し、「コンピュータを使って宿題をする」が3.0%、「学校の勉強のために、インターネット上のサイトを見る」が6.0%など、勉強のための利用率は軒並み低い。
「学びにICTを使っている率では日本は圧倒的な最下位であるのに対し、ゲームなどの利用はOECD平均を上回る。日本ではデジタル機器はゲームをする道具と思われているが、これは子どもたちだけではなく、社会全体がそう思っている。保護者もデジタル機器=ゲームなどの遊び用と考え、学校関係者も同様に思っているので、『学校にデジタル機器を導入する必要があるのか?』という意見になる」と高谷氏は警鐘を鳴らす。
この状況に危機感を覚えた国が2019年度夏から準備を進め、学校へのデジタル機器導入に関する法律ができ、予算も取られた。そして12月に補正予算でGIGAスクール構想がスタートする。「1人1台環境が実現することで全てが変わる。ここに参加しないという選択肢はない。局、省あげてどう対応すべきかを真剣に考えている。これが進むべき道」と、日本の学校のGIGAスクール実現の必要性を訴えた。
端末に関しては、4.5万円という補助金が提供されることから、学校現場では逆に不安も起こっているという。「これまで1台あたり10万円以上の予算が必要だった端末整備が、4.5万円という予算で実現するのか? 足りない分は自分たちが予算を補わないといけないのか?」というものだ。これに対し高谷氏は、「この不安に対しては誤解を解きたい。4.5万円でも十分に使えるものを揃えることができる」と説明。さらに、「一体不可分なものは補助対象」として、本体側としては「端末管理ツール」、「キーボード」、「OS」、「メーカー無償保証付き端末本体」、「運搬搬入・設置・据え付け」の費用は補助の対象として該当するとした。
また、高速ネットワーク網整備として、「校内LAN整備工事及び一体不可分となる初年度に必要なネットワークの設定・調査」の対象として、「アカウントの初期設計」、「設定、端末の初期設計」「設定」が含まれることも紹介した。校内ネットワーク設置にどの部分まで補助金が利用できるのか? という疑問に対する方向を示唆した。
一方、ICTならではの先進的な学びばかりがアピールされていく中で、「“未来の学び”といっても現場の先生は構えてしまう。ICTを文房具のように、普段使うものとして使っていって欲しい」と、髙谷氏が現場の不安を汲み取る場面もあった。
髙谷氏の基調講演を受けて、マイクロソフトから参加した自治体や教育関係者向けにGIGAスクールパッケージについて説明がされた。こちらは教育現場向けということで、前半でレポートした記者向け説明会とは若干強調するポイントが異なるが、その中でも印象に残ったのはMDMと無償研修についてだ。「本当のテーマは、900万人の子どもたちに1人1IDのアカウントを作らねばならないこと、その900万アカウントを1年で作ることができるのがMDMだ。そして、セキュリティポリシーに則った運用をするために、無償で教育研修を行う必要がある」と、IDとセキュリティの重要性、そのためのクラウドを活用したMDMと研修の必要性を強調した。
■日米の学校現場から、それぞれの失敗と本来の教育への原点回帰
海外の事例で印象的な内容だったのが、シカゴ公立学校の事例だ。シカゴの公立学校にGoogleのテクノロジーを使った端末を導入したものの、導入前に期待されていたような変化は起きなかった。状況を変えるためにシステムの見直しが決定し、マイクロソフトがそれを担当することになったが、最初に行われたのは、意外にも端末の入れ替えなどではなく、STEM教育の実施という基本強化だったという。
地元企業とも提携し、教員向けの研修や生徒へのSTEM教育を実施したが、「デバイスをどうするのかについては、それを使いこなす準備が整ってから考えればいい」というのがマイクロソフト側の考え方だったという。デバイス中心ではなく、そもそも目指している姿を考えて、それに対応するために必要なものを考えることからスタートすることだった。
日本の導入事例として登壇した足立学園 中学校・高等学校の情報科教諭である高田昌輝氏も、導入の失敗例として、あれこれ詰め込みすぎは導入レベルが高くなりすぎて普及が進まないことや、必ず授業で導入したデバイスなどを使うことを徹底した結果、「ICTを使うための授業となってしまったことは最大の失敗」だったとした。
デバイス導入は予算を取って行われるが、私立学校の足立学園では、親からも「高いお金を払って購入したのに使っていないのか?」という声があがった。これはデバイスを使うための授業になってしまって、実は導入成果につながる授業とはならなかった。では、成果があがったものはどんなものだったのか。それはコミュニケーションだ。同校ではTeamsを使ってクラスサイトを作り、日々起こったこと、日直日誌をPDF化して貼り付けるなど、日常のデジタル化を進めていったことで、自然なデバイス利用が定着していった。
教員にとってはデジタル機器を使うことで、板書をすることなく、生徒の目を見て授業ができるようになったなどメリットを上げる声があがったそうだ。教員の年齢は22歳から65歳までと幅広く、急速に新しい施策を進めようとしても簡単には実現できない。一部教員はデジタル機器を使うが、別な教員は使わないといった状況はマイナスとなるので、急速にではなく、時間をかけて変わっていくことが必要のようだ。
鹿児島県の総合教育センター情報教育研修課の木田博氏は、実際に目にした授業の感想をこう語った。
「ある学校では、授業の後半にタブレットを机の中から出して、指定されたキーワードを検索し、指定されたWebページを閲覧するためだけにタブレットを活用する授業が行われていた。これだと、タブレットではなく、該当箇所を印刷しておいた方が効率的ではないか。一方、別の学校の古典の授業では、先生が紹介した和歌の解釈を生徒が手元のタブレットで検索して、『先生とは違う解釈もあるよ』と言い出した。先生は怒るかな?と思ったら、『いい機会だから、先生の解釈と今の解釈、どちらが適切か調べてごらん』と

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