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五十嵐美樹です。今回はじゃがいもで発電するポテトバッテリーなど、手軽に楽しめる発電実験をご紹介します。【もっと写真を見る】
コイルの中で磁石を動かして電流を発生させたり、水素と酸素を反応させて電気を作ったり、ざまざまな発電方法がありますが、今回は台所にあるものを使って手軽に楽しめる発電実験をご紹介します。身近なものを使って電気を作れることから、科学実験教室でも詳しく聞かれることが多い実験です。
この記事では、ご家庭でも簡単に楽しめる野菜や果物で発電する方法、その応用として、ステンレス製のフォークやアルミホイルを使って発電を楽しむ方法をご紹介します。
じゃがいもで電気を作ってみよう!
まずは、じゃがいもで発電するポテトバッテリーの作り方をご紹介します。
【用意するもの】
・じゃがいも
・ワニグチクリップ
・銅板(※後に触れますが、複数枚必要な場合があります)
・亜鉛板(※後に触れますが、複数枚必要な場合があります)
・LED
・カッター
【実験方法】
じゃがいもにカッターで、切り込みを2ヵ所、平行になるように入れます。銅板と亜鉛板を刺すための切り込みなので、銅板や亜鉛板の大きさに合わせて切ってください。
切り込みを入れたじゃがいもに銅板1枚と亜鉛板1枚を刺します。
銅板とLEDの+極(足が長い方)、亜鉛板とLEDの-極(足が短い方)を、それぞれワニグチクリップでつなぎます。
これで回路は完成ですが、部屋を暗くしてみてもLED電球は光っていません。
じゃがいも1個でLEDが光らない場合は、どうしたらいいでしょうか? そう、ポテトバッテリーの数を増やして、つないでいきましょう。新しいじゃがいもを用意し、さきほどと同じようにカッターで切り込みを入れます。
じゃがいも(2個目)の切り込みに、さきほどと同じように銅板と亜鉛板を刺します。
LEDの+極とじゃがいも(1個目)の銅板、じゃがいも(1個目)の亜鉛板とじゃがいも(2個目)の銅板、じゃがいも(2個目)の亜鉛板とLEDの-極を、それぞれワニグチクリップでつなぎます。
つなげて部屋を暗くしてみると、
今回の条件では、じゃがいも2個でLEDが光りました! LEDや銅板、亜鉛板などの条件によっては、より多くのじゃがいもを使う必要があります。今回は銅板と亜鉛板を使いましたが、銅板は10円玉、亜鉛板は1円玉を代用できます。何個で点灯するのか、子どもたちとワクワクしながら、1個ずつ増やしてチャレンジしてみてください!
■注意事項
・実験に使ったじゃがいもには、銅や亜鉛の金属イオンが溶けだしています。絶対に食べないでください。
本実験は動画でもご覧いただけます。
『【世界では常識?】ジャガイモで電気を作る??【ポテトバッテリー】』)
フォークやおたまで発電してみよう!
「ポテトバッテリーを試したいけど、そのためだけに亜鉛板と銅板を買うのは」「銅板は10円玉、亜鉛板は1円玉を代用できると知っているけれども、お金を使うのは」といった、ご相談をいただいたことがあります。このような場合は、台所にあるステンレス製のフォーク・おたまとアルミホイルを使って発電するのもおすすめです。
【用意するもの】
・アルミホイル
・ステンレス製のおたまやフォーク
・ワニグチクリップ
・食塩水
・わずかな電気で動くもの(今回はオルゴールを使用、LEDなどでもOK)
【実験方法】
アルミホイルを手で握れるサイズまで、折りたたみます。
オルゴールの+極とステンレス製のおたま、オルゴールのマイナス極と折りたたんだアルミホイルを、それぞれワニグチクリップでつなぎます。
左右の手のひらに食塩水をつけて片手でおたま、もう片手でアルミホイルを握ると、電気を作れます。
今回も1人ではオルゴールは鳴りませんでした。さきほどのじゃがいも実験で銅板と亜鉛板を増やしたのと同じように、アルミホイルとステンレス製のものを増やしてみます。オルゴールの+極とステンレス製のおたま、アルミホイルとステンレス製のフォーク、アルミホイルとオルゴールの-極を、それぞれワニグチクリップでつなぎます。
もう1人お友達を誘い、左右の手のひらに食塩水をつけて、2人とも片手にステンレス製のおたまやフォーク、もう片手にアルミホイルを握ると、オルゴールが少しだけ鳴りました!
もっと電気を作りたいという方は、ステンレス製のものとアルミホイル、保護者やお友達など、仲間を増やして楽しく実験してみてくださいね!
なぜ発電できたの?
今回は、冷蔵庫や台所にあるものを使って、簡単に電気を作る方法をご紹介しました。なぜ発電できたのか理由をご説明しましょう。
1つの目のポテトバッテリーの実験では、じゃがいもの汁に亜鉛板が溶け、亜鉛イオンと電子に分かれました。亜鉛イオンはじゃがいもの汁の中に溶け、電子はワニグチクリップを伝って、亜鉛板から銅板に動きます。電子の移動によって、電子の流れとは反対向きに電流が生まれ、LEDが光りました。じゃがいも以外にもレモンなどの果物でも発電できます。ぜひ試してみてください!
ステンレス製のおたまやフォークと、アルミホイルを使った実験では、食塩水がじゃがいもの汁の役割、ステンレスが銅板の役割、アルミホイルが亜鉛版の役割を果たし、電流が流れました。おたまやフォーク以外にも、ステンレス製のものであれば発電できます。ぜひ皆さまもお家で試してみていただけるとうれしいです!
■注意事項
・小学生など低年齢の子どもが実験するときは、必ず保護者の指導のもとで実施してください。
・カッターを使う際は、手を切らないように気を付けて作業してください。じゃがいもなどの野菜や果物は滑りやすいので、ゆっくり切り込みを入れてください。
・銅板や亜鉛板は先が尖っているものもあるため、野菜や果物に力を加えながら刺す際は、手を切らないように気を付けてください。
・実験に使った野菜や果物には、銅や亜鉛の金属イオンが溶けだしています。絶対に食べないでください。
・電気がうまく作れない時は、+極と-極を間違えていないか、よく確認してください。
文● 五十嵐美樹 編集● 上代瑠偉/ASCII