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週末限定2000円超えのつけ麺に隠されたドラマ ラーメン巖哲(西早稲田)【麺歴20年のテレビマンが紡ぐ!読むだけで美味しいラーメン「物語」】第4回(アスキー)

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週末限定2000円超えのつけ麺に隠されたドラマ ラーメン巖哲(西早稲田)【麺歴20年のテレビマンが紡ぐ!読むだけで美味しいラーメン「物語」】第4回
[元記事]
今回私が紡いできた「物語」を紹介するお店は、新宿区早稲田にある「ラーメン巖哲」。【もっと写真を見る】

 私がラーメンを食べる上で「味」よりも大切にしているのが「物語」。
 
 お店がこれまで紡いできた「物語」。
 そして、私が勝手にお店と紡いでいる「物語」。
 
 後者の「物語」はだいぶ偏りまくっておりますが、どうかよろしくお願いします。
 
 今回私が紡いできた「物語」を紹介するお店は、新宿区早稲田にある「ラーメン巖哲」。
 
 2014年にオープンして以来、ラーメン好きはもちろん、近隣の学生やサラリーマンからの支持を受け、人気店としての地位を不動のものとしていますが、特にここ最近、ある壮大な「物語」を紡ぎながら、他のラーメン店では見られない、とてつもない進化を遂げつつあるのです――。
 
 店主の平松恭幸(やすゆき)さんは、坊主頭で眼光鋭く、見るからにコワモテ。「修行僧のように一途にストイックにラーメンに打ち込んできた人なんだろう」と、一目見た瞬間に「ラーメン修行僧・平松物語」を脳内で紡いでました。
 
 しかし、実際にお話してみると、物腰柔らかでお話好きなジェントルマン。しかも意外なことに「30歳超えてもプータローみたいな生活してたんですよ」という発言まで飛び出してきました。
 
 よくよく聞くと、そのキャリアはなかなか異色な「物語」でした。新卒で2年間、地元大阪でサラリーマンをやったものの、お笑い芸人になる夢をあきらめられずに上京。養成所を卒業して芸人デビューを果たすも、なかなか芽が出ず辞めることに。ここで平松さんが売れていたら、今の「巖哲」のラーメンは存在しないわけですから、売れなくて本当によかった(笑)。
 
 その後、大阪に戻ってからは、いくつか仕事するも続かず、バイトをしながら何となく食いつなぐ日々。そしてある時、花火大会で会場整理のバイトをしながら、綺麗な花火を見上げているうちに「俺は何をしているんだろう」と、はたと気づき、思い直します。こうして、一念発起。真剣にラーメン屋さんをやろうと決意を新たに、大阪の名店「麺哲」の門を叩きました。
 
 「麺哲」に入ってから半年、ナントいきなり豊中店の店長に抜擢されました。平松さんは死に物狂いで努力し、抜擢してくれた親方に付いて、製麺も魚の目利きも覚えました。さらに和食・韓国料理・イタリアンなど多種多様な料理を作れる親方に、ラーメン以外のこともたくさん学ぶことができました。こうして職人としての腕を磨き、トータル6年半勤め上げ、独立して東京で「巖哲」を開店します。
 
 さて、ここまで随分細かく「平松物語」を紡いで参りましたが、これにはちゃんと理由があります。冒頭で書きました「今の巖哲のとてつもない進化」は、まさにこの「平松物語」の経験が全て生きているのです。さっ、回収していきますよ(笑)。
 
 「巖哲のとてつもない進化」それは週末限定つけ麺のことです。元々、学生やサラリーマンが少なくなる週末の早稲田で、余所からお客さんを呼ぶために始めました。最初はあまりラーメンに使われない珍しい魚を使ってはいるものの、比較的オーソドックスな鮮魚出汁系の塩つけ麺でした。ところがここ1年くらい、ラーメンでは到底使わないような高級魚を使って(しかも毎週違う高級魚で)、割烹料理のような仕立てで、他に類を見ないとてつもないつけ麺が提供されているのです。
 
 例えば、私が食べたものですと、
 
 天然物の特選素材の鰤(ブリ)のアラを焼いて出汁を引き、つけ汁をぶり大根にして塩焼きにした身を乗せて、さらに刺身を麺の上に添える。
 
 八幡浜産の最高級白甘鯛(シロアマダイ)のガラで出汁を引き、つけ汁には身をかぶら蒸しにしたものを乗せ、刺身とウロコの素揚げを麺の上に添える。
 
 最高級の食材のガラで出汁を引き、つけ汁を椀物と見立てて、身を焼いたり蒸したりとひと手間加えて、さらに刺身まで楽しめてしまう。そして、これらを麺がひとまとめに繋ぐことで、割烹ではなく、つけ麺という一品に仕上がっているのです。そう、あくまでもラーメン店主が作る「つけ麺」なのです。
 
 もちろん、このつけ麺を作れる平松店主の料理の腕は相当なものです。
 
 「麺哲」で魚の捌き方から様々な料理まで学んだからこそ成せる仕事なのは間違いありません。とはいえ、料理の腕は努力次第で向上させることは可能です。実は、このつけ麺の本当に凄いところは、絶対に他のラーメン職人では真似できない、2つの最強の武器があるのです!
 
 まず1つが、仕入れ先です。「巖哲」がつけ麺に使っているような高級魚は、仮にどんなにお金を積もうとも、ルートを持っていなければ手に入れることはできません。一流の料亭や寿司屋など、高級魚を欲しがるお店は山ほどあるので、ラーメン店に回ってくることなどありえないのです。
 
 では、なぜ平松店主だけがこのような高級魚を仕入れることができるのか。それは、「麺哲」に魚を卸している中西さんという仲買人が、特別に魚を卸してくれているからです。中西さんは普段は一流店にしか魚を卸さない仲買人なのだそうです。その人に認められた平松店主。それもひとえに「麺哲」での修行時代に実直に働いていたことの賜物なのだと思います。
 
 そしてもう1つが、平松店主が紡ぐ「物語」です。店主は毎回ブログで、その週に使う魚の素晴らしさや、それをどう調理していくのかを、丁寧に書き連ねるのですが、この文章が完全に1つの「物語」となっていて、もう食べる前からすでに美味しいのです!「これを読んで食べないという選択肢はない」と毎回思わされます。これはまさに、その昔芸人を目指していた男ならではのドラマチックな表現力なんだろうと、勝手に私なりの「物語」として紡いでます(笑)。
 
 2000円を超える価格設定に、「ありえない」と思う人も多くいるでしょう。ただ、そもそも客単価数万円のお店でないと味わえない高級魚を、2000円ちょっとで、しかも自分が大好きなラーメンという料理で食べられると思えば、決して高くはないと私は思います。実際、平松店主は毎回、魚が届いてから実際に捌いてみて提供できる杯数を出して、そこからギリギリのせめぎあいで値段を決めています。そして、その高額のつけ麺を求めて、週末には平日以上の行列ができているのもまた事実です。
 
 このつけ麺は、誰も真似することのできない、驚異的な進化を遂げた、まさに「つけ麺の向こう側」を感じさせてくれる一杯だと、私は断言します。「現代ラーメン文化の1つの到達点」と言っても過言ではないでしょう。芸人やプータローを経て、ラーメン職人という天職に就くことができた平松店主だからこそ、たどり着くことができた境地だと思います。
 
 ふー、回収できたでしょうか?(笑)。
 
 もちろん、「巖哲」には通常価格のレギュラーも多数存在します。「巖哲」の名前を有名したメニューである鮪塩(しびしお)。
 
 東京では珍しいマグロ節を使った清湯スープに、具材としてマグロの頬肉をフランベしたものが乗ります。初めてこのラーメンを食べた時に「塩ラーメンに革命が起きた!」と、大袈裟でなく思いました。
 
 他にも、修行先の「麺哲」の味を引き継ぎ改良を加えた「醤油ラーメン」や、
 
 大阪のご当地ラーメン・高井田系の濃口醤油をベースに、そこにマルチョウを乗せた「マルチョウそば」など、
 
 個性溢れる豊富なメニューが並んでおり、いずれもここでしか食べられない逸品です。
 
 是非あなたにも「ラーメン巖哲」のラーメンを、あなたなりの「物語」を紡ぎながら食べて頂きたいです。
 
赤池洋文 Hirofumi Akaike (フジテレビ社員)
 
2001年フジテレビ入社。ドラマ「ラーメン大好き小泉さん」、ドキュメンタリー「NONFIX ドッキュ麺」「RAMEN-DO」などラーメンに特化した番組を多数企画。大学時代からの食べ歩き歴は20年を超え、現在も業務の合間を縫って都内中心に精力的に食べ歩く。ラーメン二郎をこよなく愛す。
 
百麺人(https://ramen.walkerplus.com/hyakumenjin/)
 
本人Twitter @ekiaka
 
文● 赤池洋文 編集●ラーメンWalker

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